私自身、実家の両親とは離れて暮らしており、これまで何度も「もっと近くにいられたら」「すぐに様子を見に行けたら」と、もどかしい思いを抱えてきました。だからこそ、ご依頼をいただいて誰かの「大切なご実家」の敷地へ一歩足を踏み入れるとき、そこが単なる「管理物件」とは思えないのです。
1. 鍵を開ける瞬間の、静かなお家の空気
長年、人が住んでいないお家。到着して、お預かりした鍵を回すとき、私の胸にはいつも少しの緊張感が走ります。
扉を開けると、そこには時が止まったかのような、静まり返った空気が満ちています。かつてここで家族の団欒があり、笑い声が響き、生活の営みがあった場所。家具の配置や柱の傷ひとつにも、所有者様ご家族が積み重ねてこられた大切な思い出が宿っています。
他人の私が、ビジネスだからといってズカズカと無遠慮に踏み込んでいい場所ではない――。
そんな畏敬の念があるからでしょうか。私はいつからか、玄関を開けて最初の一歩を踏み出すとき、心の中で(あるいは、誰もいない室内に向けて小さな声で)「ただいま、お邪魔しますね」と呟くようになりました。
2. 窓を開け、新しい風を通すということ
「いえまもり」の作業では、お部屋のすべての窓を開け放ち、中にこもった空気を一気に入れ替える「換気」を行います。
窓を大きく開けると、備中地域の四季折々の爽やかな風が、室内の隅々までサーッと流れ込んでいきます。その瞬間、お家が「ふぅ」と深く呼吸をして、生き返るような心地がするのです。
風を通しながら、私はただ機械的に部屋を見回すだけでなく、五感を研ぎ澄ませています。
換気中に確認していること
- 雨漏りの跡はないか
- 畳に湿気はきていないか
- お庭の草木の伸び具合で、ご近所に迷惑がかかっていないか
- 建物の外観・基礎まわりの異常はないか
- ポストの状況・不審な形跡はないか
一軒一軒、それぞれのお家に特徴があり、気になるポイントは違います。お客様のために90分の限られた時間の中で建物の健康状態を正確に見極めること。それが、家族の立場を経験してきた私だからこそ届けられる、プロとしての「見える安心」だと思っています。
3.「誰かが気にかけてくれている」という安心感を
実家のこと、両親のこと、将来の土地やお墓のこと。気になっていても、仕事や家庭の都合ですぐには帰れない悩みを抱える方は、私だけではありません。
「見に行けない不安」を抱える遠方のご家族に、現地の正確な状態を写真付きの報告でお届けすること。そして何より、「地元で、あなたの代わりに大切なお家を真剣に気にかけている人間がいる」という安心感をお届けすることこそが、ICHIMAの本当の役割です。
作業を終えてすべての窓を閉め、鍵をかけるとき。最初に入ったときのどんよりとした空気は消え、お家全体がすっきりと整った表情を見せてくれます。
心の中でそうお家に声をかけ、私は現場を後にします。
離れていても、故郷とのつながりはなくなりません。その大切なつながりを支える存在として、これからも誠心誠意、一回一回の訪問に魂を込め、あなたのご実家に向き合っていきます。
岡山県の空き家管理・見回りサービス「ICHIMA」
高梁市・倉敷市を中心に、ご実家の定期巡回や換気、お庭の環境整備などを行っています。大切な資産を、ご家族の想いに寄り添う方法でお守りします。